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第4話:4次試験——「健康に産んでくれてありがとう」

これも、本当に記憶が曖昧だ。

都内の大病院だったか、社内の健康管理部だったか、その後のパイロット人生で医療施設にはたくさんお世話になったので、記憶が錯綜してしまっている。


徹底的な身体検査

「パイロットは視力が命」というのはよく言われることで、実際に目の機能は細かく検査される。視力だけでなく、屈折率・斜視・眼底・視野など多岐にわたる。

しかしそれだけではない。脳機能や循環器系も細かく調べられた記憶がある。少し考えればわかることだが、パイロット業務上、最も避けなければならないのは簡単に言えば「突然死」だ。その原因となりうる脳疾患・心疾患につながるリスク保持者を、この段階で排除していたのだと思う。

鼻腔や、三半規管のある内耳も大切な検査対象だ。鼻腔の手術を条件に内定をもらっていた学生もいたと聞いた。

ボク自身は血液検査で引っかかった。血糖値が高かったのかどうか定かではないが、「缶ジュースやジャンクフードなどを控えるように」と言われた。学生時代の乱れた食生活と縁を切ういい機会になった。


生まれ持ったものを問われる試験

身体検査で不合格になることは、努力や勉強不足が原因ではない。「生まれ持ったもの」を理由に不合格になるのだ。

大学時代にバリバリ結果を残してきた体育会系の学生でも、いわゆる”スポーツ心臓”で不可となるケースがある。受け入れがたい結果になりうる試験だと、今でも思う。

この試験を通過したとき、ボクは初めて心の底から両親、とりわけ母に対して「健康に産んで育ててくれてありがとう」と感謝した。記念受験で始まったボクの就職活動が、本物になっていく瞬間だったかもしれない。

―――

次回は、いよいよ5次試験。実際にセスナを操縦させてもらえる飛行適性検査だ。この試験を受けられるだけで、受験した甲斐があると思えた。

〔つづく〕

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